2014年12月


高萩洋次郎選手がサンフレッチェを退団したという。

サッカーについて、またサンフレッチェに関して、ほとんど情報も知識もないから詳しい事情はわからない。 
しかし広島市民球場の再活用問題、跡地問題とからんで混迷するスタジアム問題について注視しつづけてきた者としては暗い気持ちにならざるをえなかった。

高萩選手は以前から海外挑戦が夢だったというから、スタジアム問題が彼の退団と
直接関係しているとはいいきれない。
しかし、このタイミングで決意したことを考えると、まったく影響がなかったとはいいきれないだろう。

2012年にサンフレッチェはJ1初優勝を成し遂げた。
その歓喜の大波は当然のようにスタジアム問題にまで波及し、サンフレに、そしてサポーターや市民に好ましい環境を整備してやるべきだと「スタジアム建設問題」がにわかに脚光を浴びることになった。

その勢いを厭な予兆として感じたのだろう、広島市の松井市長は優勝が現実のものになりかけると「サンフレは2位でいい」と、地元の首長としてあるまじき迷言を吐いて市民のヒンシュクを買うことになった。

初優勝の歓びからスタジアム建設への期待へと移行して行った流れに、サンフレのサポーターはもちろん、広島市民も跡地問題解決への期待を抱いた。それはまたサンフレ選手たちにとっても希望でもあり願いでもあっただろう。

ところが、自然発生的に生まれてきたスタジアム建設早期実現への機運、市民球場跡地への移転という夢は、合理的な理由もない不可解な障碍によってねじまげられ終息されようとしている。

しかも、そのスタジアム建設反対の“闇の勢力”の背後か中心に、本来ならば大株主として
球団の発展を支援しなければならないはずの広島市がいることを薄々感じはじめた選手たちの落胆失望たるや、いかばかりだろうか。

他球団に行けるチャンスがある選手ならば、あるいは海外に挑戦できる実力があれば、彼らは涙を呑んで退団していくだろう。それを一方的に批難することはアンフェアというものだ。

これまでも毎年のようにサンフレッチェからは主力選手が退団していった。
そして、とうとう高萩洋次郎選手だ。

彼らの多くが「引き抜きにあった」「金につられた」と中傷され、ファンからブーイングをあびることになった。
たしかに金銭が大きな理由のひとつではあったかもしれない。しかし今回カープに復帰することになった黒田博樹投手の例でもわかるように、アスリートのモチベーションは金銭だけではない。

カープの本拠地がドーム球場であったなら、たぶん黒田投手は帰ってくることはなかっただろう。
ズムスタがメジャーの球場に通じる開放的な球場であったことが、復帰のひとつの理由になったとおもう。

ひるがえってエディオンスタジアム。
山奥のイノシシがスタンドに紛れ込んでいてもおかしくないような、ピッチというも気恥ずかしいような球場でプレイする彼らに、サンフレ愛だけで居続けろというのは酷な話だろう。

そんな環境でプレイさせつづけている広島市民、サンフレのサポーター、そして行政や財界こそが、みずから襟を正して自省するべきだろう。

サポーターも市民も、ずっと口惜しいおもいをしつづけてきたスタジアム問題。
その障碍になっている行政や一部財界の人間、それこそ金や利権につられて反対のための反対をとなえている人間たちにこそ、あらためてブーイングをあびせるべきだろう。

                 カープ本評論家 堀 治喜




 


津田恒美の人生を描いた「もう一度、投げたかった」は、テレビのドキュメンタリー番組から生まれたロングセラーです。

カープ本の中には、やはり同じようにテレビのドキュメンタリー番組から生まれた本があります。
それは、つぎのうちのどれでしょう。

 ①コージのなん友かん友 山本浩二
 ②野球の夢一途に 衣笠祥雄
 ③セ界の中心で下位と叫ぶ 北山エイト
 ④カープ誕生物語り 中沢啓治

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正解は②です。

衣笠祥雄氏がメジャーリーグのスター選手で、1972年に大地震で被災したニカラグアへ救援物資を運ぶ途上の飛行機事故で亡くなったロベルト・クレメンテの面影を訪ねて生誕の地プエルトリコを訪ねるというドキュメンタリー番組。クレメンテの生き様と自分のそれとを重ね合わせて半生をふりかえるという構成の秀作でした。

その番組が書籍化されたのが前記の本です。

カリブ海の青い空の下を衣笠さんと歩みながら、彼のことばに耳を傾ける。そんな印象とともに読める佳作です。
 
野球の夢一途に
衣笠 祥雄
日本放送出版協会
1998-03

クオリティピッチング
黒田博樹
ベストセラーズ
2013-05-25


きょうは「カープ本検定」の2回目。

黒田博樹投手の「電撃カープ復帰」の余震は、まだつづいています。
そこで彼の著作から。

問題2:
黒田博樹投手の第2作「クオリティピッチング」は、「投手はマウンドで何を考えているのか?」をわかりやすく解説するために、メジャー時代のある試合に例をとって全投球を1球ごとに解説したものです。

その試合とは、下のどのゲームでしょうか。

 ①2008年4月4日のメジャーデビュー戦(対サンディエゴ・パドレス)
 ②2009年4月6日の初めて開幕投手をつとめた試合(対サンディエゴ・パドレス)
 ③2010年5月2日のメジャー通算20勝目の試合(対ピッツバーグ・パイレーツ)
 ④2012年7月23日、ヤンキース時代のシアトル・マリナーズ戦
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答えは④番です。
この試合だけ説明がなかったので、クサいとおもわれたことでしょう。

そうです、この試合こそイチロー選手がマリナーズからヤンキースに電撃移籍してきて最初にピンストライプのユニフォームでグラウンドに立った記念のゲームでした。

どうしてこの試合を例にとったのか。
そのことについて本の中で黒田投手は、とくに語ってはいません。

イチロー選手の移籍第1戦にマウンドにいたことは、黒田投手にとっても印象深かったということはあったでしょう。
それで一球ごとの記憶の鮮度がよかったのかもしれません。

でも彼の性格からすれば、マリナーズから移籍していきなり前チームと対戦することになったイチロー選手の「特別な試合」を、こういうかたちで記録してあげたかったのたもしれません。

出題者としては、こちらをとりたいですね。
なんといっても「男気」の男ですから。





 

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