カテゴリ: カープ本から読み解く


2014 「
き哲学」 高橋慶彦 サンフィールド
     「最後のサムライ 前田智徳 伊藤伸一郎 ぱる出版
     「カープ誕生物語」 中沢啓治 DINO BOX
     「カープ投手王国の系譜」 ベースボール・マガジン社
     「別冊カドカワ 総力特集」 KADOKAWA
     「WE LOVE CARP」 ぴあ
     「前田智徳 天才の証明」 堀治喜 ブックマン社
     「黄金時代の記憶」 ベースボール・マガジン社
     「過去にあらがう」 前田智徳・石井琢朗・鈴川卓也 KKベストセラーズ
     「菊池涼介」 ベースボール・マガジン社
     「カープガール」 正司慎一郎 マイナビ
     「跳ねる・若ゴイ」 中国新聞
     「広島カープ論」 赤坂英一 PHP研究所
     「カープファンあるある」 火月にのみ TOブックス
     「野球次郎・広島東洋カープ大事典」 廣済堂出版
     「カープの時代」 加古大二 トランスワールドジャパン
     「カープのうろこ」 スポーツユニフォーム愛好会 文芸社
     「ベースボールサミット」 カンゼン
     「キクマル魂」  廣済堂出版
     「CS突破祈念号」 ベースボール・マガジン社
     「カープ女子」 うえむらちか KADOKAWA
     「カープ本100冊。すべて読んでみた!」広島野球ブックフェア編 広島出版


最終回の2014年です。

カープ本バブルも成熟期に入ったといえるのでしょうか、クオリティにバラツキがあるとはいえ、収穫の多い年でした。

待望のヨシヒコ本「赤き哲学」 を皮切りに、引退した前田智徳本が本人のものもふくめて3冊と、「選手本」の長短打がつづきました。

またファンの間で復刊が待たれていた「カープ誕生物語」が上梓されたり、「広島カープ論」や「カープの時代」といった読み応えのある論考が登場してきました。

そして、カープ本のひとつの到達点を示した「野球次郎・広島東洋カープ大事典」。仔細なデータとユニークな企画でカープの全体像を立体的、重層的に提示してみせてくれました。

でも、なんといっても最大の収穫は「カープ本100冊。すべて読んでみた!」。(笑
カープ本の過去から未来への道標として、カープ本クロニクルのエポックとなった、といったら自讃のしすぎでしょうか。

カープ本100冊。すべて読んでみた!
広島野球ブックフェア実行委員会
広島出版
2014-12-25



クオリティピッチング
黒田博樹
ベストセラーズ
2013-05-25

2013 「我らがカープは優勝できる⁉」 藤本倫史 南々社
     「カープMONO語り」 カープグッズ研究会 竹書房
     「カープ狂の美学」 迫勝則 宝島社
     「球場ラヴァーズ」  石田敦子 少年画報社
     「カープルール」 鯉党制作委員会 中経出版
     「心の伸びしろ」 石井啄朗 KKベストセラーズ
     「CARPはなぜCSに出られないのか?」 北別府学 ザメディアジョン
     「広島東洋カープ ドラフト1位のその後」 別冊宝島編集部 宝島社
     「エースの覚悟」 前田健太 光文社新書
     「カープの建さん」 高橋建 宝島社
     「カープ魂」 大野豊・達川光男 ベースボール・マガジン社
     「クオリティピッチング」 黒田博樹 KKベストセラーズ
     「カープ投手王国再建へ」 大野豊 宝島社新書
     「天国から来たストッパー!」 堀治喜 文工舎
     「甦れカープ」 中西清貴 文芸社
     「カープ・ストーリー」 前原 淳 KKベスセラーズ
     「赤ヘル1975」 重松清 講談社
     「カープファンは日本一」 井川樹 南々社
     「マツダスタジアムメモリアルBOOK 2013」 ザメディアジョン

 
この年から本格的な“カープ本バブル”時代に入ったといってもいいでしょう。

お約束の
選手本や提言本はもちろん、長編小説やファンタジー、さらにはグッズ本やズムスタでのスナップばかりを掲載したファンブックからコミックまで、実に実に20点近くが刊行されています。

“カープ本バブル元年”
2013年は、まさにそんな年でした。

その背景となったのは、やはりクライマックスシリーズ初出場を勝ち取ったチーム力のアップ。カープの成績が上向くにつれて、それに引っ張られるようにカープ本が続々刊行されたということでしょう。

クライマックス出場だけで、この勢い。
もし今年「24年ぶり優勝!」なんてことになったら、はたしてどうなってしまうのでしょうか?
心配です。(笑

すでにグラウンドでも、ギョー界でも、そんな気配が漂っていますが…
カープ本100冊。すべて読んでみた!
広島野球ブックフェア実行委員会
広島出版
2014-12-25










 



2004年 「赤ゴジラの逆襲」 田辺一球 サンフィールド
2005年 「広島にカープはいらないのか」 迫勝則 南々社
2006年 「ボール犬ミッキー」 室積光 幻冬舎
      「セ界の中心で下位と叫ぶ」 北山エイト 日本文学館
      「カープとともに真っ赤に燃えたマイク人生」 鈴木信宏 文芸社
2007年 「CARP NOTE アンガールズ」 メディアジョン
      「全身野球魂 長谷川良平」 堀治喜 文工舎
      「それでも逃げない」 北別府学・友野康治 グラフ社
      「前田の美学」 迫勝則 宝島社文庫
      「カープ猛者列伝・私家版」 堀治喜 文工舎


2004年は、いうまでもなく球界再編問題で世間が揺れた年でした。
ちょうどイラクへの自衛隊派兵の是非が問われていた頃で、「1リーグ制にするぞ!」の恫喝ひと声で多くの国民の耳目はプロ野球の騒動にスリップアウトしてしまいました。

そして騒動の裏で、こっそり派兵は決まって自衛隊はめでたく中東へ。
ことがすめば、あとは用なしということなんでしょうか、あれ以来、大声でお叫びになっておられた大新聞社のトップから再編の「さ」の字も漏れ聞こえてきませんが、お元気なんでしょうか。

それはさておき、「カープ本」だけが2004年の球界再編騒動の余波から逃れるとはできません。
同年に彗星のようにあらわれて首位打者を獲得したカープの嶋重宣選手の
「赤ゴジラの逆襲」。ここでは彼のシーズンの戦いぶりを追いながらも、横目で再編問題の推移を記録してくれています。
首位打者に向かってひた走るプレイヤーの言動と球界の動勢がパラレルで語られる。なかなかユニークな構成です。

もうひとつは「広島にカープはいらないのか」。

「もしかして球界再編でカープは消滅してしまうんではないか?」
そんなファンの危機感、不安に訴えかけるタイムリーな出版でした。

惜しむらくは、内容のほとんどが再編問題とはとくに関係のない「カープ主砲論」。新井貴浩選手にスポットを当てたタイトル倒れの内容で、「読者の期待が消滅してしまった」ことでしょうか。
しかし、8年ぶりに新井選手がカープに復帰した今、あらためて読みなおしてみるのもいいかもしれません。

2006年は、再編騒動の反動でしょうか、罪のない“和みシリーズ”があいついで出版されています。

愛らしかったボール犬ミッキーの写真集、ファン心理を面白おかしく描きながら、いつまでも低迷するカープ球団にちょっともの申してみた「セ界の中心で下位と叫ぶ!」。
そして、放送席から愛をこめて語った「カープとともに真っ赤に燃えた〜」と、どれも愉しくページをめくれる佳作といえるでしょう。

2007年は新井貴浩、黒田博樹がそろってカープを去り、チームとしては“喪失の年”でしたが、カープ本のほうは“実りのシーズン”でした。

カープの初代エース長谷川良平、さらに20世紀最後の200勝投手北別府学、両投手の評伝自伝があいついで出たほか、2000本安打達成直後に「前田の美学」が上梓されるなど、スタンドの外は活況を呈しておりました。

カープ本100冊。すべて読んでみた!
広島野球ブックフェア実行委員会
広島出版
2014-12-25




 



1995年 最後のストライク 津田晃代 勁文社(のちに幻冬舎で文庫化)
1996年 西田真二のここで一発 西田真二 アスリート
      もう一度、投げたかった 山登義明・大古慈久 NHK出版
      (のちに幻冬舎で文庫化)
1998年 野球の夢一途に 衣笠祥雄 NHK出版
      スカウト 後藤正治 講談社
1999年 カープ50年 夢を追って 中国新聞社
2001年 超二流のすすめ 三村敏之 アスリート社
      全力投球 大野豊 宝島社
      カープ苦難を乗り越えた男たちの軌跡 松永郁子 宝島社
2002年 山本一義の一球談義 山本一義 渓水社


1993年の夏に津田恒美が他界したのを受けて、2年後に夫人の津田晃代さんによる闘病記が刊行されています。
翌年にはNHKのドキュメンタリー番組「もう一度、投げたかった」が書籍化されて、ちょっとした津田ブームになりました。

脳腫瘍で32才という若さで亡くなったこともあって、ファンも「もう一度、見てみたかった」という未練を残しているのでしょう、津田の人気は現在も衰えることなく、前記の2作は1998、1999年にあいついで文庫化されています。

この頃になると「カープ本」のバリエーションもすこしずつ豊富になってきました。

「西田真二のここで一発」や大野豊の「全力投球」といった自伝のほか、三村敏之の啓発本「超二流のススメ」や、山本一義のエッセイ集「山本一義の一球談義」といった良質の本が出版されています。

また1995年に野茂がメジャーに渡って起きたメジャーブームの余波でしょう、衣笠祥雄がメジャーのスター選手だったロベルト・クレメンテの足跡を訪ねるドキュメンタリー番組「野球の夢一途に」が書籍化されてもいます。

カープ本100冊。すべて読んでみた!
広島野球ブックフェア実行委員会
広島出版
2014-12-25


 

カープ風雪十一年

先の投稿でご紹介した「カープ風雪十一年」。

「カープ本100冊。すべて読んでみた!」のコラムで、古書ビブリオの小野さんが書いてくれていますが、現存するカープ本では最古のものかもしれません。

残念ながら入手したときは制作に間に合わず、同書では「風雪25年」のみの紹介になってしまいました。
もし機会があれば、あらたに加えられればとおもいます。

体裁は新書版174ページ。
巻末に球団結成の発起人に名を連ねたお歴々、さらに物心両面でカープを支えた後援会メンバーの名簿が紹介されています。

風雪十一年グラビア
グラビア写真の右上が、当時監督の白石勝己氏、下が前任の石本秀一氏
左上が来広したジョー・ディマジオと、まだ夫婦だったマリリン・モンロー
下は平山智選手ご夫婦と契約直後の記念撮影

それにしてもディマジオの肖像権はクリアしていたのでしょうか。
昔はまだおおらかな時代だったのかな。

つい、いらぬ心配を…


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